[メイン3] ルシード・グランセニック :
[メイン3] ルシード・グランセニック : そして、僕はジャングルの奥地に立っていた
[メイン3] ルシード・グランセニック : 転送装置……は便利で良いんだけどさ、こんな事に使うなよな
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「なーんて、愚痴ってる場合じゃないよな…」
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「すぐに、ケーイチや、天女と合流しないと……」気持ちの悪い呼び名で、まだカムイを呼んでいるルシード
[メイン3] ルシード・グランセニック : しかし…ただの欲情が理由でもない
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「あんな小さな子供が、スナッフビデオ見せられた挙句、殺し合いに放り込まれる……とか論外だろ、ったく…!!」
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「ケーイチはケーイチで間違いなく一般人だ、さっさと保護しないと……」
[メイン3] ルシード・グランセニック : 脳裏によぎるのは、あの中でもまともな……言ってしまえば、温かな人間達
[メイン3] ルシード・グランセニック : その、哀れな末路
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「……神の力、なんてものの生贄に、二人をさせられるか!」
[メイン3] ルシード・グランセニック : ルシードは、必死に策を巡らせ森林を駆ける
[メイン3] ルシード・グランセニック : 時たま躓きながら
[メイン3] : そうして始まった、バトル・ロワイアル。
[メイン3] : ルシードは頭にある、温かな人間達と合流するために、天空を生い茂る葉で覆われた、暗きジャングルの中を歩いていると。
[メイン3] : 野生漂う香りの中に、ラベンダーの香りが、混ざる。
[メイン3] ルシード・グランセニック : ──香水?でも、こんな場所に
[メイン3]
:
そして、その正体は
隠れもせず、堂々と、目の前から─────。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「─────あ~らぁ?誰かと思えば、お兄さんじゃな~い?」
[メイン3] 犬飼伊介 : ─────温かくない、冷たい人間と、出会ってしまう。
[メイン3]
ルシード・グランセニック :
「ああ、君は確か……」
突き刺すような気配を察し、怯みつつも声をかける
[メイン3]
犬飼伊介 :
その女は、殺し合いの場というにも関わらず、ニコニコとした表情で
長い桃色の髪を揺らめかせながら、ルシードの方へ、一歩、また一歩、ゆっくりと歩き、近づく。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「犬飼伊介、いがみっつ❤よろしく~」
[メイン3] 犬飼伊介 : 飄々とした態度を崩さないまま、ルシードと数m程の距離まで近づく。
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「犬飼……うん、覚えた」
[メイン3]
犬飼伊介 :
「ん~~~~~?」
ルシードの体を、じろじろと見て。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「あらぁ~~?武装とか、しないのぉ~~~??」
[メイン3]
ルシード・グランセニック :
「するわけないだろう?こんな馬鹿げた争い、君だって……」
するわけがない、そう言いたげな姿は隙だらけだ
[メイン3] 犬飼伊介 : 「ふぅ~ん?そう?へぇ~?それなら─────」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「─────ここでぶっ殺されても、しょうがないわよねぇ???」
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「──え?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「さっきのお返し❤」
[メイン3] 犬飼伊介 : 押し退けられた恨みを晴らすように
[メイン3] 犬飼伊介 : ルシードの顔面へ、思いっきり拳を叩きつけようとする。
[メイン3] 犬飼伊介 : その速度は、おおよそ女性が放つものとは思えないほど凄まじく。
[メイン3] 犬飼伊介 : 瞬きの内に、ルシードの鼻の先に、拳が触れていた。
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「ごっ ぶぁ!?」
[メイン3] ルシード・グランセニック : 真っ向から拳を受け、脳を揺さぶられ、身体機能の麻痺と共に大きくよろめく
[メイン3]
犬飼伊介 :
「ひゅぅ~~~~? 優男のイイ顔が台無しになっちゃったわねぇ~?」
一気に空気が冷たくなる。
[メイン3] 犬飼伊介 : 淀む、どんよりと。
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「な、なんで……いや、さっき、押し除けたのは悪かったけど……!」
[メイン3] 犬飼伊介 : 息が苦しくなるほどの、不気味で薄暗い気圧が、伊介から放たれる。
[メイン3] 犬飼伊介 : 表情も、仕草も、最初の場で会った時と何ら変わらないように見えるにも関わらず。
[メイン3] 犬飼伊介 : 猛禽類のような瞳を、ギョロリとルシードへ向け。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「ん~~~~~~?なんで?なんでって、それは─────」
[メイン3]
犬飼伊介 :
「─────お前をぶっ殺すために決まってるでしょうが❤」
その場を飛び跳ね、回し後ろ蹴りをルシードの首元目掛け放つ。
[メイン3]
犬飼伊介 :
暗殺者に育てられた少女─────犬飼伊介。
その身体能力も、暗殺の技術も、全て暗殺者の『家族』に叩き込まれたもの。
[メイン3]
犬飼伊介 :
全て、伊介が『幸せ』に生きるために
より良い人生を歩むように、と。
[メイン3]
犬飼伊介 :
『家族』の『愛情』により育てられた
人を殺す技。
[メイン3] ルシード・グランセニック : 風を切り、迫る首への打撃を受け、大きく吹き飛ばされる
[メイン3] ルシード・グランセニック : 蹴りを喉元へと食らって、まだ死んでいないのは、ルシードとて人外である事の証明だが……
[メイン3]
犬飼伊介 :
伊介は、この殺し合いに参加する大きな大義名分なんて持ち合わせていなかった。
むしろ早く帰りたいとも思っている。
だからこそ、とっとと終わらせてしまおう、そう考えている。
[メイン3] 犬飼伊介 : それが伊介にとっての─────『最善』。
[メイン3] ルシード・グランセニック : ここまで、ルシードは不意を突かれたとはいえ、全く格闘技に対応できていない
[メイン3] 犬飼伊介 : 身内以外の死など、伊介にとっては……"どうでもいい"。
[メイン3] 犬飼伊介 : 大きく吹き飛ぶルシードを横目に。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「へぇ……?今ので死なないんだぁ?」
[メイン3]
ルシード・グランセニック :
「……ゲブ」
口から小さく血の混じった痰を吐き出すと、睨み返す
[メイン3] 犬飼伊介 : 「なぁに?やっぱり貴方も、"ただ者じゃない"ってワケぇ?」
[メイン3] 犬飼伊介 : ニヤつかせた表情で、じわりじわりと転がるルシードへ歩み寄り。
[メイン3] ルシード・グランセニック : ……『最悪』だ
[メイン3] 犬飼伊介 : 容赦無しに、ルシードの背中へ向けて、思いっきり踵を落とす。
[メイン3] ルシード・グランセニック : よりにもよって、急がなきゃいけないって時に、今の僕と相性が悪い敵にぶつかって──ッ!?
[メイン3] 犬飼伊介 : 「アタシ、やっぱり『素手』の戦い、好きなのよねぇ~❤ この手で確実に獲物を殺せる!っていう感覚が、充実感あってたまらないのよ~」
[メイン3] ルシード・グランセニック : 衝撃を背中に受け、立ち上がろうとしていたルシードの全身が、再び地面に沈む
[メイン3] 犬飼伊介 : ルシードが地面に叩きつけられたことにより、地面に大きな亀裂が生じる。
[メイン3] 犬飼伊介 : 周りの木々も、その衝撃により大きく揺れる。
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「あ、相手はっ…サドの格闘家かよ…!!」
[メイン3] ルシード・グランセニック : 肋骨にヒビが入ったのか、声を出すのも苦労しながら、ルシードは声を挙げる
[メイン3] 犬飼伊介 : 「んんん~~~~~??まだ生きてるの~?早く死んじゃった方が楽じゃない~~?ん~~~~~???」
[メイン3] 犬飼伊介 : ガンッ!ガンッ!ガンッ!!!
[メイン3] 犬飼伊介 : 足を何度の、ルシードの背中へ叩きつける。
[メイン3] 犬飼伊介 : その衝撃により、地面に入る亀裂も大きくなり。
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「ごふっ!? こ、こnうぐぁ!?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「これで……ト・ド・メ❤」
[メイン3] ルシード・グランセニック : 立ち上がろうと、転がり出ようとする度に、打ちつける烈脚が身体を破壊する
[メイン3]
犬飼伊介 :
サッカーボールを蹴るように、ルシードの体を思いっきり蹴飛ばす。
音速を越えた足技に、風を切る音がルシードの耳へ鳴る。
殺意の音。
[メイン3] ルシード・グランセニック : 必死に、いや咄嗟に
[メイン3] ルシード・グランセニック : 子供のように丸まった結果、偶然にも蹴っ飛ばされて連続の攻撃からは逃れられる──が
[メイン3]
犬飼伊介 :
心臓、肺、胃、肝臓等々の内臓を確実に、ぐちゃぐちゃに破壊するために
命を絶つための、暗殺の一撃。
[メイン3] ルシード・グランセニック : 風に振り回される木屑の様に、冗談みたいに吹き飛んでいく
[メイン3] 犬飼伊介 : ルシードの吹き飛ぶ方向にある木々がドミノのように切り倒されていき。
[メイン3]
ルシード・グランセニック :
横方向に重力が発生したようなまっすぐな飛翔は、障害物を砕いて抜く度
なんとか速度を落としていって…
[メイン3] ルシード・グランセニック : なんとか、地面に転がって、息を整える時間が手に入る
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「ゼーハーッゼーハーッ」
[メイン3] ルシード・グランセニック : ダメだ、今の僕じゃこのまま殺される
[メイン3]
犬飼伊介 :
「……へぇ……?」
遠くから、目を細め、まだ起き上がるルシードの体を見つめ。
[メイン3]
犬飼伊介 :
……今のでも、まだ生きてるんだぁ~……?
へぇ……やっぱり、"ただ者じゃない"のねぇ~……?
[メイン3] ルシード・グランセニック : 相手は人間の戦士、僕は言ってしまえば人外であるだけの凡人だ
[メイン3] ルシード・グランセニック : 技量では、絶対に勝てない
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「逃げる、しかっ……ない」
[メイン3]
犬飼伊介 :
普通なら、今のでさっくりと死ぬわよぉ~?楽~に、ね。
内臓とか骨とかの損傷による大量出血もあるでしょうけど~、まぁ大半は、痛みによるショック死とかじゃない~?
アタシ、医学とか知らないから適当に言ってるけど~
[メイン3] 犬飼伊介 : でも、ショック死しないって~ことはぁ~……。
[メイン3] 犬飼伊介 : 随分と─────強い精神力を持ってる、ってことなのかしらねぇ?
[メイン3] ルシード・グランセニック : ──そんなわけがない
[メイン3] 犬飼伊介 : 「あらぁ~!?逃げる気かしらぁ?逃がすわけないでしょ~」
[メイン3]
ルシード・グランセニック :
要するに、死が遠いからショックも少ない
ルシードの精神は痛みに震えてボロボロだ
[メイン3]
犬飼伊介 :
ルシードへ向けて、陸上選手並みのスピードで猛ダッシュ。
迫り来る、桃色の殺意。
[メイン3] ルシード・グランセニック : 生物特徴だけで、窮地を脱して、それに甘えて逃げ出している
[メイン3] ルシード・グランセニック : ゆっくりと距離を詰められる
[メイン3] 犬飼伊介 : 「ねぇねぇ~~~?死んだ方が楽なのよぉ~~~??」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「なんで死なないのかしらぁ~~~??」
[メイン3] ルシード・グランセニック : 身体能力の差異を誤魔化す程の要因は何かといえば……それは、やはり恐怖だろう
[メイン3]
犬飼伊介 :
伊介は、苛立ちの感情が芽生えてくる。
焦りもある。
[メイン3] 犬飼伊介 : 伊介は、『早く家に帰りたい』のだ。
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「死んだ方が楽だとか、死んだ事が無い奴はすぐに言うよな…!!」
[メイン3] 犬飼伊介 : だからこそ、こんな殺し合いも、すぐに終わらせたい。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……はぁ~~?死んだことが無いヤツって」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「まるで死んだことあるみたいに言うじゃない~?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「妄言ってやつ~?まさか実体験とかじゃないでしょ~?」
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「……」
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「さあ、どうかな」
[メイン3] 犬飼伊介 : ……イラッ。
[メイン3] ルシード・グランセニック : ルシードの頭は、恐怖に震えているが、落ち着きを取り戻す
[メイン3]
犬飼伊介 :
はぁ……?何それ……?
ムカつく。ムカつくムカつく……!!
[メイン3] 犬飼伊介 : 「立場分かって言ってんのそれぇ~~??」
[メイン3]
犬飼伊介 :
どう考えても、伊介の方が上。アイツは下。
なのに、何よあの強がり!
[メイン3] 犬飼伊介 : まるで伊介の方が、ずっと、ずーっと焦ってるみたいじゃない!!
[メイン3] 犬飼伊介 : 「実際に死んだことあるのかどうか知らないけどぉ~、それならもう一遍……死んじゃえッ!!!」
[メイン3] 犬飼伊介 : ルシードの体を蹴り上げ、宙に浮かせ。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「そぉ~~らァアアアッ!!!!」
[メイン3] ルシード・グランセニック : 「ぐっ!?」
[メイン3]
犬飼伊介 :
ルシードのボディへ、鋭い殴打。
岩盤であれば容易く破壊可能な。
[メイン3] ルシード・グランセニック : 白衣が宙に舞い、これまで通りなら致命傷を負う程の鋭い突きがこちらに迫り──
[メイン3] ルシード・グランセニック : “触れるか、否か”その直前で腕に大きく吹き飛ばされ、ルシードは大きく吹き飛ばされる。
[メイン3] ルシード・グランセニック : まるで、ぶつけてもいないのに弾きあう磁石の様に
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……ッ……!?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 手応えが……無かった……!?
[メイン3] 犬飼伊介 : まるで、伊介の腕が、アイツの腹に触れる前に、『反発』するように……。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「くッ……!?今の……何のカラクリよぉ~!!?」
[メイン3]
犬飼伊介 :
伊介のこめかみに血管が浮き出る。
思い通りに行かないことに対し、怒りが抑えきれない。
[メイン3] ルシード・グランセニック : そのまま白いタキシードが宙を舞い、高い崖の上に着地すると……
[メイン3] ルシード・グランセニック : 少し、怯える様に振り返った後、脇目も降らずに逃走した
[メイン3] 犬飼伊介 : 「なッ………!?ま、待ちなさ……!!……チッ……!!!」
[メイン3]
犬飼伊介 :
伊介よりも、『上』の位置に着地し、逃げていった男。
『下』から這い上がる術は、見当たる領域内には無く。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……ムカつく……!!何なのよ……!!」
[メイン3]
犬飼伊介 :
爪を噛みながら、近くにある大木へ、思いっきり蹴りを入れる。
目にも止まらぬ速さ、空間が歪むような速さで。
[メイン3] 犬飼伊介 : ドゴォオオッ!!という轟音が、ジャングル内に響き渡る。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……こんなんじゃ、伊介の怒りは収まらないっつーの……!アイツ……名前、何て言ったか……」
[メイン3] 犬飼伊介 : 目を閉じ、最初の会場の光景を脳裏に浮かべる。
[メイン3]
犬飼伊介 :
伊介は、あの場にいた奴らの名前や特徴のことなど、数十分も経過した今、ほとんど忘れていた。
それは、伊介が偏差値40程度の高校にしか行けないほど頭が悪い、というのもあるが。
[メイン3] 犬飼伊介 : ─────『身内』以外に興味を示さない、ということもあるからだ。
[メイン3] 犬飼伊介 : だが……思い出す。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「─────ルシード……確か、アイツはそう名乗ってたわよねぇ~?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「いいわ、決めた❤ ……アイツは、必ず伊介が、ブッ殺す❤」
[メイン3]
犬飼伊介 :
血筋を浮かべながら、ジャングルの闇へと消えていく。
一匹の、桃色の狼。
[メイン3] 犬飼伊介 :
[メイン3] 犬飼伊介 :
[メイン3] 犬飼伊介 :
[メイン3]
犬飼伊介 :
そうしてジャングルを抜ける伊介。
ルシードという名の、殺さなくては気が済まない相手を探すために……。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……え、ジャングル抜けちゃったじゃない」
[メイン3] 犬飼伊介 : ……べっつにぃ~?伊介~、方向音痴とかじゃないしぃ~?
[メイン3] 犬飼伊介 : そんなことを思いながら足を踏み入れるは─────。
[メイン3] 犬飼伊介 : ─────無人の、街。
[メイン3] 犬飼伊介 : 人がかつて生活を営んでいたであろう跡地が、多く目につくその場所。
[メイン3]
犬飼伊介 :
外からでも見える、商品がズラりと並んで見えるコンビニエンスストア。
子どもが遊んでいたであろう、ボール等が転がっている公園。
誰かが奮発して購入したであろう、道の端に止めてある高級そうな外車。
[メイン3]
犬飼伊介 :
戦場……というには、あまりにも『日常』に近い風景であり。
それでいながら、無人であるということが一層、『異質さ』を醸し出しており。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……はぁ~、伊介、疲れたぁ~、どっかで休憩休憩~」
[メイン3] 犬飼伊介 : そんな『異質さ』に対しても物怖じせず、先程の戦闘と、ずっと歩き続けてきた疲労を少しでも癒すために、近くにあった建物へ入る。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「ビンゴ❤」
[メイン3] 犬飼伊介 : そこは、ビジネルホテル。
[メイン3] 犬飼伊介 : 伊介の、何となくの直観通り、クーラーも聞いており、中々涼しい。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「せっかくだしぃ~、シャワーとか浴びよっかなぁ~?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 無人のカウンターを過ぎ、奥へと進もうとし─────。
[メイン3] : ──足音。
[メイン3] : 無人のはずの街に、『人の気配』が垣間見える。
[メイン3] 犬飼伊介 : ……あらぁ?
[メイン3]
犬飼伊介 :
その気配に感付く。伊介もまた─────『プロの暗殺者』。
息を殺す存在に、集中する。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「あらあらぁ~?伊介、休憩しようかな~?って思ってたんですけどぉ~?」
[メイン3] 犬飼伊介 : どこにいるかも分からない相手に、分かりやすく大きな声で語りかける。
[メイン3] 両儀式 : 「気取られたか」
[メイン3]
犬飼伊介 :
「─────フフ、なるほど……ねぇ?」
現れた両儀式に、目を細める。
[メイン3] 両儀式 : そう言って、奥から
[メイン3] 犬飼伊介 : あの会場の中では……唯一の、『同類』と言っても差し支えない。
[メイン3] 犬飼伊介 : そう─────『殺し』に対し躊躇の無い、『殺し』の中で生きる人間。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「まぁ、そうねぇ~?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「出会っちゃったからには……しょうがないってやつよねぇ~?」
[メイン3] 両儀式 : 「……ここは満員だ」
[メイン3] 両儀式 : 「泊まりたいなら別を当たれ」
[メイン3]
両儀式 :
瞬間。
持っていたステーキナイフを取り出す。
[メイン3]
犬飼伊介 :
「あらあらぁ~、冷たいわねぇ~?……へぇ……?」
その刃物に目を細め。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「弘法は筆を選ばず……だったかしらぁ?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「それでアタシをサイコロにするつもりなのかしら~?ん~~?」
[メイン3] 犬飼伊介 : ボキッ、ボキッ。
[メイン3] 犬飼伊介 : 拳を鳴らす。
[メイン3] 両儀式 : 「サイコロか……」
[メイン3] 両儀式 : 「それもいいが、俺は肉なら大きめが好きだ」
[メイン3] 両儀式 : 「ブツ切りにされるのは嫌か?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「え~~?痛いのって嫌じゃない~?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「痛いことから逃れる、それってすっごく『人間らしい』って思わない~?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 一歩、また一歩。
[メイン3] 犬飼伊介 : 両儀式へ、距離を詰めていく。
[メイン3] 両儀式 : 「……サイコロは痛くないのか?」
[メイン3] 両儀式 : 反面、彼女は動かない。
[メイン3] 犬飼伊介 : ビジネスホテル内の冷やされた空間が、さらに一層冷たく。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「さぁ~……?一瞬だったら……痛くないのかも─────ねッ!!」
[メイン3]
犬飼伊介 :
瞬時、伊介の姿が両儀式の視界から消える─────。
─────否、身を一瞬で屈ませ、その低姿勢のまま両儀式へ急接近する。
[メイン3] 犬飼伊介 : そうしてその勢いを利用し、下から両儀式の腹部へ、思いっきりブローを与えんとし─────。
[メイン3] 両儀式 : ステーキナイフを手で滑らせて刃を前へ。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「─────ッ!!」
[メイン3] 犬飼伊介 : ステーキナイフの刃の先で、拳を止める。
[メイン3] 両儀式 : 「手で止めるのか」
[メイン3] 犬飼伊介 : 伊介の首筋に、冷や汗が伝う。
[メイン3]
犬飼伊介 :
「……止められたのは、伊介の方だけどぉ~?」
ニヤりと笑いながら。
[メイン3] 犬飼伊介 : ……このまま拳を突き出していたら、おそらく……。
[メイン3] 犬飼伊介 : アタシの拳は、寸断されていたッ……!!
[メイン3] 犬飼伊介 : そのビジョンが脳裏に浮かんだ。それは、『暗殺者』として生きて来た伊介だからこそ見えた景色。
[メイン3]
犬飼伊介 :
「……それじゃあ─────これは?ッッとぉ!!」
そのまま身を翻し、大きく飛躍。
[メイン3] 犬飼伊介 : そのまま、両儀式の脳天へ踵落としを喰らわせんとし。
[メイン3] 両儀式 : 「そうだな。刃物を素手で触ったら危ないからな」
[メイン3] 両儀式 : 瞬間、脚を滑らせるように体制を落とす
[メイン3]
犬飼伊介 :
「ッ……!?」
目で追ったわねッ……!?へぇ……!!上等じゃない……!
全部、『観えてる』のねぇッ……!?
[メイン3] 犬飼伊介 : その踵落としは床へ激突し、轟音と共に大きな亀裂を作り上げ、そしてそのまま床を崩す。
[メイン3] 両儀式 : 「だが脚で刃物を踏むのも危ないぞ?」
[メイン3] 両儀式 : 刃を回して、そのまま斜め上へ跳躍
[メイン3]
犬飼伊介 :
「ぐッ……!?いっ……たぁ……!!」
寸前で身を反り、その刃を避けようとするも。
[メイン3] 両儀式 : そして、壁に飛び込んで
[メイン3]
犬飼伊介 :
その刃先の動きは、それすらも読んでいるように。
伊介の腹部を斬る。
[メイン3]
両儀式 :
壁を蹴り何処へ行くと同時に
壁を切る
[メイン3]
犬飼伊介 :
両儀式が壁へ飛躍すると同時に、伊介の血飛沫が宙に、スローモーションのように舞う。
その間に伊介も迎撃のために─────。
[メイン3]
両儀式 :
ナイフで壁を切る。
阿呆な話だ。ましてやステーキナイフで、建物の壁が切れるわけがない。
[メイン3] 両儀式 : が、そんな常識とは裏腹に
[メイン3]
両儀式 :
その壁は、砕け
瓦礫となってその身体を襲う
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……ッ!!……その小さい体のどこに、そんな力があるのかしら……ねぇッ!!っとぉ!!!」
[メイン3]
犬飼伊介 :
自身を襲う瓦礫の群を、近くにあった自販機を、コンセントをブチ抜きながら持ち上げ。
弾き飛ばしていき。
[メイン3] 両儀式 : 「それはこちらが聞きたいものだな」
[メイン3] 犬飼伊介 : その重量を思いっきり、両儀式へ向けて飛ばす。
[メイン3]
犬飼伊介 :
……イライラするわねぇ……!!何よあの顔……!全然焦ってないじゃないのよ……!汗の一つも無し、随分とまぁ……!!
舐められてるじゃない!犬飼伊介ぇっ!!
[メイン3] 犬飼伊介 : 血筋が、伊介のこめかみにビキビキと浮かぶ。
[メイン3] 両儀式 : 踏み込みと同時、刃を振るう
[メイン3] 両儀式 : どう見ても「斬れる」はずのない自販機は、二つに割れて『死』ぬ。
[メイン3] 両儀式 : 同時にその間をすり抜けるように跳んで距離を詰める
[メイン3] 犬飼伊介 : 「………ちょっとぉ、それぇ……!ナイフの扱いに長けてるってだけじゃ説明し切れないんじゃないのぉ……!?」
[メイン3]
犬飼伊介 :
ニッ!と笑い、体勢を整え、両儀式と同じく、距離を詰める。
猛ダッシュで。
[メイン3] 両儀式 : 「お生憎様な」
[メイン3]
犬飼伊介 :
ツイてないわねぇ、ほんと、とことん……!!
休憩のつもりが……ちょっと熱くなりすぎちゃってるわねぇ、アタシ……!!
[メイン3] 犬飼伊介 : これじゃあまるでサウナじゃない……!!あ~、あっつ!!
[メイン3]
両儀式 :
刃を逆手に持ち替える。
鈍器を振り下ろすように、拳ごと、下へ
[メイン3]
犬飼伊介 :
「ぐッ……!!!」
その刃は、伊介の腕を貫通し、大量の出血を起こすも─────。
[メイン3] 犬飼伊介 : ググググッ。
[メイン3] 犬飼伊介 : 伊介の怪力の筋肉により、その刃を体内で止める。
[メイン3] 犬飼伊介 : ニヤッ、と至近距離で両儀式に、悪魔のような笑みを見せ。
[メイン3] 両儀式 : 「無茶をするな」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「そうよぉ~?めっちゃ無茶してるわよぉ~?超痛いんですけどぉ~~?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 伊介の肌に大量の汗が滲み出ながらも。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「ていうかぁ~?伊介、めーーーっちゃ……」
[メイン3]
犬飼伊介 :
「─────腹立ってんですけどぉおッ!!」
両儀式の腹部へ、渾身の蹴りを飛び入れる。
[メイン3] 両儀式 : 「……!」
[メイン3]
両儀式 :
咄嗟に腹に力を入れて受ける
衝撃を皮膚と筋肉までで殺す
[メイン3] 犬飼伊介 : その蹴りは、通常であれば、大木程度簡単にへし折れる程度の威力であるが─────。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……チィッ……!!アンタも……『化物』ねぇッ!?」
[メイン3] 両儀式 : 「お生憎様」
[メイン3]
犬飼伊介 :
筋肉を緩め、腕を振り下ろし、ナイフを腕から離し。
バックステップにより、両儀式と大きく距離を離す。
[メイン3] 両儀式 : 「目がいいもんで」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……そうみたいねぇ……!その目……ずっと、ずーっとこの伊介のことを見て離さない」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「一体─────『何』が見えてるのかしらねぇ……?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 息を切らしながらも、そう吐き捨てる。
[メイン3] 両儀式 : 「……」
[メイン3] 両儀式 : 「『死』って言えば笑うか?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「…………」
[メイン3] 犬飼伊介 : フッ、と笑いながら。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「笑わないわよぉ」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「だって、見えちゃうのならぁ……しょうがないものねぇ?」
[メイン3]
犬飼伊介 :
─────『暗殺者』だからこそ、共感し得るものもある。
『魔眼』の性質上、根本的理解とは程遠い、が……。
[メイン3]
犬飼伊介 :
人を殺すのに長けた人間は、次第に人間の急所を本能的に分かるようになると言われている。
そう、人の急所が、『観える』ように。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……伊介~、ちょっと~、熱くなり過ぎちゃったっていうかぁ~」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……死にたくないんだよねぇ~?」
[メイン3]
犬飼伊介 :
『家族』のもとへ帰るために、死ぬわけにはいかない。
怒りに身を任せて殺し合ったところで……『死』がそこに『観える』ならば。
[メイン3] 両儀式 : 「死にたくないのか」
[メイン3] 両儀式 : 「人を殺そうとするして」
[メイン3] 両儀式 : 「臆病なんだな」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……ちょ~~っと、イラっと来るけどぉ」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「でもぉ?人って所詮─────『別の生き物』じゃなぁい?違う?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「伊介はね、『家族』は大事にする」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「でも、『家族』以外は、ぶっちゃけどうなっても知らないっつーかぁ」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「ていうか、それが当たり前じゃないのぉ~?」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「それともなぁに~?アンタは、テレビのニュースで人が死んだのを見て、めそめそ泣いてたりするわけぇ~?」
[メイン3] 両儀式 : 「なるほど、合理的だ」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「ま、そういうワケ♪ ─────じゃあねッっとぉ!!!」
[メイン3] 犬飼伊介 : そう言い、拳を思いっきり床へ叩きつけ。
[メイン3] 犬飼伊介 : ビジネルホテルを、打ち砕く。完全に破壊する。
[メイン3] 両儀式 : 「だが」
[メイン3] 両儀式 : 「相手にすることを自分はされたくないというのは、別問題だな」
[メイン3]
犬飼伊介 :
粉塵が舞い、瓦礫が辺りに飛び交い。
足場もあっという間に、重力に沿って崩れていく。
[メイン3] 両儀式 : ナイフを振り回し、それに触れた瓦礫が崩れていく
[メイン3]
犬飼伊介 :
「ふふ、ふふふ……言うじゃない……」
そうして伊介は窓辺へ飛び。
[メイン3] 犬飼伊介 : 外の太陽が逆光となり、伊介を照らし。
[メイン3] 犬飼伊介 : 「その通り、伊介の理論は、つよ~い人間だからこそ語れるもの、今この場でアンタに言ったところで、しょうがないものねぇ?」
[メイン3] 両儀式 : 「少しくらい払い戻してもらってもいいだろう?」
[メイン3] 両儀式 : 先、刃を食いこませた腕を視る
[メイン3] 両儀式 : 「中途半端に傷ついてると痛いだろ」
[メイン3] 両儀式 : 「きっちり部位ごと『殺し』てやる」
[メイン3] 犬飼伊介 : 「……ったく、つくづく……『化物』ねぇ……!」
[メイン3] 犬飼伊介 : ギリッ、と歯ぎしりしながらも。
[メイン3] 両儀式 : 崩れ行く瓦礫を足場にして、次々と飛び移ってそれへ迫る
[メイン3] 犬飼伊介 : 「チッ……だったら────」
[メイン3] 犬飼伊介 : 瞬時にポッケに手を入れ、『何か』を取り出す。
[メイン3] 犬飼伊介 : それは、一枚のカード。
[メイン3] 犬飼伊介 : それが光ると共に─────。
[メイン3] 両儀式 : 「はあ?」
[メイン3] 犬飼伊介 : ─────巨大な人型機器が、二人の間に現れる。
[メイン3]
犬飼伊介 :
「うわ、でっか……」
思わずその大きさに伊介も言葉を漏らすも。
[メイン3] 犬飼伊介 : "ナイトオブゴールド"によって隔てられた壁を利用し、そのままビルより飛び降りて、マンホールを突き破り、地下へと潜り消える。
[メイン3] 両儀式 : 「はあっ!?」
[メイン3]
両儀式 :
……殺せない。
咄嗟にそれの『死』を視ることは、できなかった。
[メイン3] 両儀式 : 「……随分とした置き土産だな」
[メイン3]
両儀式 :
……いや。おかしい。
『死』が見えない。
[メイン3] 両儀式 : 『生きて』ないのか。
[メイン3] 両儀式 : 生きても、死んでもいない
[メイン3] 両儀式 : じゃあ、目の前の鉄塊は
[メイン3] 両儀式 : 『神様』、か?
[メイン3]
両儀式 :
[メイン3]
両儀式 :
[メイン3]
両儀式 :
[メイン3] マリア :
[メイン3] マリア :
[メイン3] マリア : だから奴らに呪いの声を
[メイン3] マリア : 赤子の赤子、ずっと先の赤子まで
[メイン3] マリア : 全ての血の無き者たちよ
[メイン3] マリア : ︙
[メイン3] マリア : 森を駆けて、悪夢を潜り
[メイン3] マリア : 追う影は、定か無き影
[メイン3] マリア : マダラ
[メイン3] マリア : 愚かなる者、恐ろしき者
[メイン3] マリア : その影を追う、狩人なのだ
[メイン3] マリア : そして、今その影を先を踏む
[メイン3] マリア : 「…隠れるのは止せ、最早意味はない」
[メイン3] マダラ : ズズズ…と音を立て
[メイン3] マダラ : その空間からまるで最初からいるかのように現れる
[メイン3] マダラ : 「……やはり、お前はあの部屋ででも殺すべきだったな」
[メイン3] マリア : 「出来なかった事を追わぬ事さな」
[メイン3] マリア : 「不運を恨め、貴殿の前に立つのは狩人マリア」
[メイン3] マリア : 「愚かなる好奇の殺戮者、恐ろしき死を与える使命に囚われた女」
[メイン3] マリア : 「故に、貴様を狩る」
[メイン3] マダラ : 「……ならば」
[メイン3] マリア : 「上位者の影を踏む者、マダラよ」
[メイン3] マダラ : 「貴様の使命を解放し、貴様に『死』を与えてやる」
[メイン3] マダラ : 「……来い」
[メイン3] マリア : 「良かろう」
[メイン3] マリア : 「古狩人の狩りを知れ」
[メイン3]
マダラ :
ジャララララララ、と
鎖が袖から
[メイン3] マリア : その場から、影を残して灰の軌跡
[メイン3] マダラ : 「うちはの瞳力を舐めるなよ」
[メイン3] マダラ : 「小娘が」
[メイン3] マリア : 風弾ける音と共に、マリアが跳ねる
[メイン3] マダラ : (!早い……)
[メイン3] マリア : マダラの背後を狙い、回転しながら刃を振るう
[メイン3] マダラ : しかし、その刃を再びすり抜け───
[メイン3] マリア : 火花を散らした二つの刃はするりと
[メイン3] マダラ : そのまま振り向き
[メイン3] マダラ : 振り向いた勢いに任せ鎖をマリアの元に
[メイン3] マリア : しかし、その鎖へ
[メイン3] マリア : ステップと共に前転
[メイン3] マリア : 狩人の狩り、それは
[メイン3] マリア : 防ぎ無き死のタップダンス
[メイン3] マリア : 獣の膂力は、人類を遥かに超える物
[メイン3] マリア : 故に狩人は防がない、鎧など砕ける故、盾はひしゃげる故
[メイン3] マリア : ならばこそ、狩人は猛攻を前にして
[メイン3] マリア : "踏み込む"
[メイン3] マダラ : 男もまた、一歩踏み込む
[メイン3] マリア : 「試そうか、無数の手を」
[メイン3] マダラ : 猛攻を前に、同じく猛攻で
[メイン3] マリア : マリアのコートの中から
[メイン3] マダラ : マリアに向かって、駆ける───
[メイン3] マリア : 刀の代わりに、筒のようなものを取り出し
[メイン3] マリア : 白銀の霧を撒き散らす
[メイン3] マダラ : ───これは!?
[メイン3] マリア : 「"ロスマリヌス"」
[メイン3] マリア : 聖歌と共に獣を狩る教会の戦士の武器
[メイン3] マリア : 水銀弾を触媒に、神秘の霧を噴き出す狩人の道具であり
[メイン3] マリア : それは、獣ではなく
[メイン3] マリア : 上位者に連なる恐ろしき者たちを焼き潰す死の霧である
[メイン3] マリア : 「…すり抜けるのは、無制限だろうかな?」
[メイン3] マリア : 後ろにステップし、広域に霧を撒いて
[メイン3] マダラ : (────コイツ!!)
[メイン3] マダラ : すり抜けをやめ
[メイン3] マダラ : 己の空間にそれら全てを無理やり吸引せんと試みる
[メイン3] マリア : 「そうくるか」
[メイン3] マリア : 腰のバッグに手をかけて
[メイン3] マダラ : そう、少なくとも眼を起点にした吸い込みに関しては霧の影響を受けん──!
[メイン3] マダラ : ズズズと音を立てながら、霧を吸い込んでいて────
[メイン3] マリア : マダラに対して毒ナイフを強く投げつける
[メイン3] マリア : 霧は確かに軽かろう
[メイン3] マリア : 「しかし鋼は重いぞ、それでも吸えるか」
[メイン3] マダラ : 男もまた、懐から出し得るのは
[メイン3] マダラ : クナイ
[メイン3] マダラ : それを、毒ナイフに向け正確に投擲する
[メイン3] マリア : 「…上手いな、さすがは東洋の…所謂忍び」
[メイン3] マダラ : 「吸うつもりなど一切無いさ」
[メイン3] マリア : 「ほう?」
[メイン3] マダラ : そして、霧を吸った後そのまま直進
[メイン3] マリア : 「そのまま来るか、ならば」
[メイン3] マリア : 雷光ヤスリを取り出し、刃を交差させて擦り上げれば
[メイン3] マリア : 「斬り合うか、他の策か」
[メイン3] マリア : 雷光を二つの刃が纏う
[メイン3] マダラ : そのまま掌をマリアに向け───
[メイン3] マダラ : 斬り合うつもりなど無い
[メイン3] マダラ : そこに現れるのは"枝"
[メイン3] マダラ : それをマリアに向け射出する
[メイン3] マリア : 「…!」
[メイン3] マダラ : 「木遁」
[メイン3] マダラ : 「刺し木の術」
[メイン3] マリア : ステップを踏み、それを回避しようとする
[メイン3] マダラ : 「逃がさん!!」
[メイン3] マリア : とはいえ未知の一手、その動きはどうしても分析が混じる
[メイン3] マダラ : そのまま掌から無数に枝を発射し続ける
[メイン3] マダラ : そう、"接近しながら"
[メイン3] マリア : 「ッチ、無尽蔵か!」
[メイン3] マリア : 回避を辞めて、刃で迎え撃ちながら
[メイン3] マダラ : マリアの直ぐそばまで接近しつつ───
[メイン3] マリア : 「…!!」
[メイン3] マダラ : そしてマリアを男がすり抜け─────
[メイン3] マリア : 「…なッ」
[メイン3] マダラ : 手首を引き込む
[メイン3] マダラ : 最初の鎖が、
[メイン3] マダラ : マリアを囲むように展開されて
[メイン3] マリア : 「ぐッ、これは…絡めとる気か!」
[メイン3] マリア : 「…だが!」
[メイン3] マダラ : その宣言通り、絡めとろうとする魂胆
[メイン3] マダラ : ────ほう?
[メイン3] マリア : 「コレは異端の技だが…仕方あるまいよ」
[メイン3] マリア : 腕を交差、触媒の水銀弾を砕き
[メイン3] マダラ : 「……何!」
[メイン3] マリア : 砕けた銀は高次元への呼びかけに変わる
[メイン3] マリア : しかして唄は受け取る者無し、宛無き唄はただ
[メイン3] マリア : 「彼方への呼びかけは、星となる」
[メイン3] マリア : 「哭けッ!」
[メイン3] マリア : 光が収束し、無数の星の如く分散して
[メイン3] マリア : 辺り一面を、星の爆発で埋め尽くす
[メイン3] マダラ : 綺羅星の如くそれを眺め───
[メイン3] マリア : 「星の力というのも、悪くはないだろう」
[メイン3] マリア : そしてその爆圧に背を押されて飛び上がり
[メイン3] マダラ : 鎖がマリアから"すり抜け"
[メイン3] マダラ : 男もまた、すり抜ける
[メイン3] マリア : 「千日手…あいや」
[メイン3] マリア : 「尽き果てるは此方か、影踏みよ」
[メイン3] マダラ : 「───ほう」
[メイン3] マダラ : そう、男は無尽蔵だ
[メイン3] マダラ : 仮面とコートに隠れてはいるが、その半身は既にほぼ人ならざる忍の神の細胞である
[メイン3] マリア : 「だがそれ以上に厄介なのはその"防御"」
[メイン3] マリア : 「望むがままにすり抜ける、か」
[メイン3] マダラ : 「そうだ」
[メイン3] マリア : 「まるで別の次元を扱っているかの如き所業だ」
[メイン3] マダラ : ────
[メイン3] マリア : 「奇怪、だがまあ」
[メイン3] マダラ : 男の余裕が、僅かに消え失せる
[メイン3] マダラ : まさか、短期間でそこまで読み切ったと言うのか!?
[メイン3] マリア : 「生憎、その手の技術は此方も齧っていたのでね」
[メイン3] マリア : 「なにぶん"隣人"が多い故に…」
[メイン3] マリア : 「似た手合いも狩ったのでな」
[メイン3] マリア : そう言って、今度は
[メイン3] マリア : 古びた遺骨を掲げて砕けば
[メイン3] マリア : マリアの動きは加速する
[メイン3] マリア : それは古い狩人の記憶を糧とした戦技
[メイン3] マリア : 「リソースは残さない、お前を引き摺り出してやろう!」
[メイン3] マダラ : 「……チッ」
[メイン3] マダラ : 素早く印を結ぶ
[メイン3] マリア : 手はある、しかし実を言えばそれリスキーだ
[メイン3] マダラ : 動きとしては中々だが─────
[メイン3] マダラ : 広域攻撃に対応できるか───?
[メイン3] マリア : 少なくとも、接近せねば始まらぬ
[メイン3] マダラ : 「木遁!」
[メイン3] マダラ : 「樹海降誕!!」
[メイン3] マダラ : そう唱えるが矢先
[メイン3] マリア : 「…ッ!!!」
[メイン3]
マダラ :
地面は芽吹き
芽は育ち
[メイン3] マダラ : 生命の理を真っ向から否定するかのような無数の木々が一個人に向けて放たれる
[メイン3] マリア : 「ならばこそ、命は捻じ伏せる!」
[メイン3] マダラ : ……そうだ
[メイン3] マダラ : それでいい
[メイン3] マリア : マリアの手袋が
[メイン3]
マダラ :
近づいてこい
オレも最初からその気だ
[メイン3] マリア : 瞬時に血に澱み
[メイン3] マリア : 水銀弾を朽ちさせて、無数の死を呼び起こす
[メイン3] マリア : 「恨め、澱め!」
[メイン3] マリア : 手袋を主に、処刑され果てた無数の怨霊を木々にぶつけて朽ち果てさせる
[メイン3] マリア : それは穢れた血の記憶、無数の死を糧とした禁忌の技
[メイン3] マリア : 「しかし、躊躇わん!」
[メイン3] マダラ : 朽ち果てた木を見て感心したかのように声を鳴らすと
[メイン3] マリア : 朽ちた木々を足場に、更に飛び出す
[メイン3] マダラ : 己もまた、真っ向から飛び出す
[メイン3] マリア : 「狩り取らせてもらう!」
[メイン3] マダラ : 「穿たせてもらう!」
[メイン3] マリア : 刃を一つ、マダラに振り落としながら
[メイン3] マリア : 短刀で自身の身を切り、血を纏う
[メイン3] マリア : 一手すり抜けるならば
[メイン3] マリア : 血を持って無数と為す
[メイン3] マリア : 炎なる穢れた血の剣舞を
[メイン3] マダラ : ………そう
[メイン3] マリア : マダラに向けて繰り出す
[メイン3] マダラ : 狙うは
[メイン3] マダラ : "カウンター"
[メイン3] マダラ : 女の狙い通りにはさせん──
[メイン3] マダラ : 写輪眼の動体視力を最大まで発揮し
[メイン3] マダラ : 無数の剣舞を、"一手"分だけ交わし
[メイン3] マダラ : 掌から枝を一本
[メイン3] マリア : …すり抜けッ
[メイン3] マダラ : たと思ったか?
[メイン3] マダラ : 画面の奥でほくそ笑んで
[メイン3] マリア : 気配
[メイン3] マダラ : 枝をマリアの胸元に
[メイン3] マリア : 色濃い、コレは
[メイン3] マリア : "死"
[メイン3] マリア : 「…一手、読み違えたか」
[メイン3] マダラ : 刺し木の術は、刺さった生命を養分とし無数の木々を体内から生み出す禁術
[メイン3] マリア : ナイトが、キングを捉えた
[メイン3] マダラ : ────終わりだ
[メイン3] マリア : 私は、クイーンに目を取られ、そして
[メイン3] マリア : "チェックメイト"
[メイン3] マダラ : "王手"
[メイン3] マリア : ざくり、一筋の裂けた音が
[メイン3] マリア : 聞くに耐えない、爆ぜる音へ
[メイン3] マリア : ああ、穢れた我がこの血は
[メイン3] マリア : 散ってしまえば、こうも赤く紅く赫く明く
[メイン3] マダラ : 高潔たるうちはの瞳力は
[メイン3] マリア : しかし、そうさな
[メイン3] マリア : この男の、朱い瞳より
[メイン3] マリア : 澱んで──
[メイン3] マダラ : ……これで殺った
[メイン3] マリア : 女の体が
[メイン3] マリア : 灰のように
[メイン3] マリア : 幻のように
[メイン3] マダラ : 「マリア…かなりの強敵だ──」
[メイン3] マリア : 砕けたように散っていく
[メイン3] マダラ : 待て、何かがおかしい
[メイン3] マダラ : そう思い、右眼の能力を使い────
[メイン3] マダラ : 己の神域に帰還した
[メイン3] マダラ :
[メイン3] マダラ :
[メイン3] マリア :
[メイン3] マリア :
[メイン3] マリア : 至極想うよ
[メイン3] マリア : 狩人とは
[メイン3] マリア : 悪夢に囚われてるものなのだと
[メイン3] マリア : ああ、膨大な血の遺志を手放して、そして
[メイン3] マリア : 至る先は、夢の"中"
[メイン3] マリア : …我が師よ、ゲールマンよ
[メイン3] マリア : 貴殿も救われんよな、何せ
[メイン3] マリア : 私は、生きていたが…
[メイン3] マリア : 貴殿は活かされてるのだから
[メイン3] マリア : 故に、そう
[メイン3] マリア : そうさ
[メイン3] マリア : 愚かな好奇は忘れるべきさ、でも
[メイン3] マリア : 忘れ難いよ、私とて
[メイン3] マリア : 血に酔ったのだから
[メイン3] マリア : ︙
[メイン3] マリア : 神威の世に
[メイン3] マリア : 鐘の音が鳴り響く
[メイン3] マリア : 嗚呼不吉な鐘の音が
[メイン3] マダラ : それは、己が警鐘を鳴らすには十分すぎ───
[メイン3] マダラ : 「───バカな」
[メイン3] マダラ : 咄嗟に背後を振り向こうとし
[メイン3] マリア : 女が
[メイン3] マダラ : 男が
[メイン3] マリア : 鐘を鳴らす女がそこに居る
[メイン3] マダラ : 驚愕でその右目を大きく見開き
[メイン3] マリア : 姿形は、変わらない
[メイン3] マリア : その手には、不吉なる共鳴の鐘
[メイン3] マリア : 「知っているか」
[メイン3] マリア : 「血に酔った狩人は、鐘を響かせて側に這い寄る」
[メイン3] マリア : 「それは不吉な前触れだ」
[メイン3] マリア : 「しかし、確かな狩人の技術」
[メイン3] マリア : 「狩人は死なぬ、だが殺す手立てはある」
[メイン3] マリア : 「その魂擦り潰れるまで殺せば良い」
[メイン3] マリア : 「血に酔った狩人は、それに気づき」
[メイン3] マリア : 「ただ、狙った獲物が果てるまで付き纏う為に」
[メイン3] マリア : 「鐘を鳴らす」
[メイン3] マダラ : 漆黒の空間
[メイン3] マダラ : 無数の立方体が並び聳える空間にて
[メイン3] マダラ : 完全なる異物を確認し
[メイン3] マダラ : 「────いいだろう」
[メイン3] マダラ : 「……来い」
[メイン3] マリア : 「ああ」
[メイン3] マダラ : 「その魂が擦り潰れるまで相手をしてやろう」
[メイン3] マリア : 「さあ、此度こそ死果てろ」
[メイン3] マリア : 刀を二つに
[メイン3] マリア : 二つをその身に
[メイン3] マリア : 血を刃に
[メイン3] マリア : 穢れを、炎に
[メイン3] マリア : 「刀の銘を『落葉』」
[メイン3] マリア : 「散らそうか、貴様という"木の葉"を」
[メイン3] マダラ : 「ほう───」
[メイン3] マダラ : 再び手から現れるは、先ほどと同じ木
[メイン3] マリア : 炎揺らめき、マリアは駆け出す
[メイン3] マダラ : 「磨り潰してやろう、貴様と言う鐘人を」
[メイン3] マリア : 「やってみよ、だが」
[メイン3] マリア : 「私は脆くはないさ」
[メイン3] マダラ : 影揺らめき、マダラもまた駆け出す
[メイン3] マダラ : 「やってみろ」
[メイン3] マリア : ステップ踏み込み前方、左斜め
[メイン3] マダラ : 「月の眼はオレのものだ」
[メイン3] マダラ : 右足を踏み込ませ
[メイン3] マリア : 演舞に焔、刃の扇子
[メイン3] マリア : 「愚かなるものさ、月は秘匿されるべきだったのだから」
[メイン3] マリア : 「貴様も白痴に消えろ」
[メイン3] マダラ : 右手には木が、枯れ木の如き刃が
[メイン3] マリア : 火花を散らして、二刀をマダラに振るう
[メイン3] マダラ : 「秘匿されるべきと言うのもまた…おかしなものだな」
[メイン3] マダラ : 「悪夢は夢の中に消えるがいい!」
[メイン3] マリア : 「それは恐る故だ」
[メイン3] マリア : 「人は弱かった、しかし手を探す」
[メイン3] マリア : 「愚か故に、愚か故に」
[メイン3] マリア : 「だがね、悪夢は覚めないよ」
[メイン3] マリア : 「それは教訓であり処刑者だ」
[メイン3] マダラ : 二枝を、振るわれた刀に
[メイン3] マダラ : 「故にオレは!」
[メイン3] マリア : 「私は総ての愚かなる先進者を断ち切る」
[メイン3] マリア : 「いつか来る"絶対"を前にするまで」
[メイン3] マダラ : 「弱き手を救世と導いてやろう!」
[メイン3] マリア : 「救えぬさ!」
[メイン3] マダラ : 「"絶対"の邪魔をするな!」
[メイン3] マリア : 「救いを唄えば、救われぬ時を産むのだからこそ!」
[メイン3] マリア : マリアが踏み込めば
[メイン3] マリア : 悪夢が神威を侵食する
[メイン3] マリア : 穢れた時計塔が、澱んだ古病院が
[メイン3] マリア : マリアの穢れが、畏れが、決意が
[メイン3] マリア : 水に滴る血の一滴の如く
[メイン3] マリア : 溜まり、落ちる
[メイン3] マリア : 「悪夢はどちらだろうな」
[メイン3] マリア : 枝葉と鍔迫り合い、マリアは睨む
[メイン3] マダラ : マダラ/オビトが踏み込めば
[メイン3] マリア : 声が響く、声が響く
[メイン3] マダラ : 血で血を洗う戦場、愛しき人を失った悪夢
[メイン3] マダラ : 穴の空いた木の葉が舞い落ちる
[メイン3]
:
『マリア様?』
『助けてください…』
『脳が、あ、あ』
[メイン3] マリア : 「全ては夢の果ての果て」
[メイン3] マリア : 「救いは、無い」
[メイン3] マダラ : マリアを睨み
[メイン3] マリア : しかし、踏み込んで
[メイン3] マリア : 「だがね」
[メイン3] マリア : 「それでも人は踏み出すんだよ」
[メイン3] マダラ : 「その夢に救いがあるのさ!」
[メイン3] マリア : 「救われんよな、つくづく」
[メイン3] マダラ : 「踏み出せやしない!!同じ過ちを繰り返した人間達が!!」
[メイン3] マリア : 「お前は私だよ」
[メイン3] マリア : 「踏み出す事を一番に恐れたのは、自分だと見えず」
[メイン3] マリア : 「私は夢の番人となる」
[メイン3] マリア : 「永久の秘密を、罪を、遺子を護る者」
[メイン3] マリア : 「愚かと知っているのは誰か」
[メイン3] マリア : 私さ
[メイン3] マリア : 首に刃を滑らせて
[メイン3] マダラ : 「───チッ!!」
[メイン3] マリア : 血を滴らせて、千の景と成し
[メイン3] マリア : 「見ていくと良い」
[メイン3] マリア : 「お前の末路が、愚かにも果てた先を」
[メイン3] マリア : 「そして尚死に絶えぬ悪夢を」
[メイン3] マリア : 居合
[メイン3] マリア : 鞘は無く、ならばこそ
[メイン3] マリア : 掌に刃を走らせて
[メイン3] マリア : 滴る血は戦化粧
[メイン3] マリア : 焔と、血と、穢れと
[メイン3] マリア : 振りかざされる一刀を大きく振るう
[メイン3] マダラ : それは"勘"
[メイン3] マダラ : 忍びの神の唯一の好敵手によって育てられた者による恩恵
[メイン3] マダラ : 踏み込んだ先に、顔を大きく後ろにのけぞらせ──
[メイン3] マリア : 紅の居合は、その眼前を切り裂く
[メイン3] マダラ : そして───
[メイン3] マダラ : 夢を偽る救世の仮面は
[メイン3] :
[メイン3] :
[メイン3] :
[メイン3] : カラン
[メイン3] オビト :
[メイン3] オビト :
[メイン3] オビト :
[メイン3] オビト : 「……やってくれたな」
[メイン3] マリア : 「そうさな、やっているよ」
[メイン3]
マリア :
「狩人が目の前にいるのだぞ、なあ」
乾いた笑みが響く
[メイン3] オビト : 右目には、紅
[メイン3] オビト : 左目は、薄紫
[メイン3] オビト : 「クク………」
[メイン3] マリア : 「秘匿をしていたのはどちらやら」
[メイン3] マリア : 「しかし…そう」
[メイン3] マリア : 「…その眼は、なんと恐ろしいものだ」
[メイン3] マリア : 知っている、それは──
[メイン3] マリア : 上位者の影などでは"無い"
[メイン3] オビト : 輪廻眼
[メイン3] マリア : その領域の物だと、永遠の時間に積まれた魂が示す
[メイン3] オビト : オレのようなヤツは…この力を発揮できるとはあまり思えんが
[メイン3] オビト : "神"そのものの力
[メイン3] オビト : 次に掌から生み出すものは
[メイン3] オビト : 外道たる象徴である"黒棒"
[メイン3] マリア : 「…まだやるか、いいや寧ろ」
[メイン3] マリア : 「"ここから"か?」
[メイン3] オビト : その問いかけには応じず
[メイン3] オビト : 素早く印を
[メイン3] オビト : 男の体が膨れ上がり
[メイン3] オビト : 「火遁」
[メイン3] オビト : 「豪火球の術!!」
[メイン3] マリア : 「炎か」
[メイン3] オビト : 繰り出されるのは、火より赤い火球
[メイン3] マリア : マリアは、握りしめる
[メイン3] マリア : 星の"存在"の幼虫を
[メイン3] マリア : そして
[メイン3] オビト : そして男もまた、それに合わせて驀進する
[メイン3] マリア : 「エーブリエタース」
[メイン3] マリア : 白い、この世のものとは思えぬ触手が
[メイン3] マリア : 白い壁のように無より出る
[メイン3] マリア : 「さあ共倒れだ」
[メイン3] マリア : 「悪夢は悪夢よ、果てない悪夢」
[メイン3] マリア : 「夜が明けても、また次の夜まで」
[メイン3]
オビト :
「共倒れだと──?」
鼻で笑う
[メイン3] マリア : 刀に抜け殻を擦り付け
[メイン3] オビト : 「夜は明けんさ」
[メイン3] マリア : 神秘の力を纏わせて
[メイン3] オビト : 「オレが終わらせる」
[メイン3] マリア : 「驕るなよ、紫眼」
[メイン3] マリア : 灰のステップ、加速を乗せて
[メイン3] マリア : 構えるのは
[メイン3] マリア : "砲"
[メイン3] マリア : 爆炎弾かせて、大砲を打ち込みながら
[メイン3] マリア : その反動で砲を投げ捨て刀を握る
[メイン3] オビト : 砲が発射される音よりも先に視認し
[メイン3] オビト : 男は自らの衣に手を掛け───
[メイン3] オビト : 一時、蒸気が黒の空間にて蔓延する
[メイン3] マリア : 「ほう!」
[メイン3] オビト : 蒸気から現れたのは──────
[メイン3] : フードをクナイで止めた頭巾
[メイン3] マリア : 「…あいも変わらず多彩だな」
[メイン3] オビト : その一瞬で───
[メイン3] オビト : ───"衣"を着た男がマリアに接敵する
[メイン3] マリア : 「ならばこそ、お前をねじ伏せなくてはならぬ」
[メイン3] マリア : 「たとえ此方の手が」
[メイン3] マリア : 「"失敗作"でもな」
[メイン3] マリア : マリアが踏み込めば
[メイン3] マリア : 枯れた向日葵が咲き並ぶ
[メイン3] マリア : そして
[メイン3] 失敗作たち : 青白い人型が、胡乱に揺らめく
[メイン3] マリア : 「貴殿の術は、私は知らぬ」
[メイン3] マリア : 「解法を知るにも時が要る」
[メイン3] マリア : 「故に、真っ向から向かわせてもらうよ」
[メイン3]
オビト :
クナイと己
1人と1物で女を囲もうとした時人型を確認するが
[メイン3] 失敗作たち : 儀式のように、青白い人型は腕を上げれば
[メイン3] 失敗作たち : 黒の空が、星空に代わり
[メイン3] 失敗作たち : 星の光が、そして
[メイン3] 失敗作たち : "隕石"が呼び起こされる
[メイン3] オビト : ───────
[メイン3] オビト : それは
[メイン3] マリア : 「星見の果ての失敗作」
[メイン3] マリア : 「愚かなる秘匿をご覧あれ」
[メイン3]
オビト :
マ ダ ラ
"己が名前を騙った者"でなければなし得ない大技
[メイン3] オビト : クク、と笑う
[メイン3] オビト : 救世主は2人もいらない
[メイン3] オビト : マダラはやめだ
[メイン3]
オビト :
オレはうちはオビト
この世の全てを…正す者
[メイン3] オビト : 隕石を
[メイン3] オビト : 「木遁!!」
[メイン3] オビト : 印を結んで
[メイン3] オビト : 対処する
[メイン3] オビト : 「花樹海降誕!!」
[メイン3] オビト : 立方体より、巨花と巨木が芽吹き
[メイン3] オビト : 隕石に直接、否
[メイン3] オビト : 隕石を掠めるようなルートで展開する
[メイン3] マリア : 「先程と違うな!」
[メイン3] オビト : 「それだけじゃない!!」
[メイン3] マリア : 目論見通りではなさそうだ
[メイン3] オビト : 花開き
[メイン3] オビト : 無数の幻覚作用のある花粉が辺りに撒き散らされる
[メイン3] マリア : 「絡め手か、いやはや」
[メイン3] 失敗作たち : その花粉に呑まれて
[メイン3] 失敗作たち : 巨人たちはさらに胡乱に揺らめき、倒れる
[メイン3] マリア : 「ならば、私は」
[メイン3] マリア : 「今一度理性と別れよう」
[メイン3] オビト : 「気狂いが───」
[メイン3] マリア : その手に、血の塊
[メイン3] マリア : 「人は皆獣よ」
[メイン3] マリア : 獣血の丸薬を飲み込み
[メイン3] マリア : マリアの瞳が、血に酔い果てた狩人のように赫く燃える
[メイン3] オビト : 「宿命に縛られし獣が……舐めるなよ!」
[メイン3]
マリア :
「…さあまだ死合おうぞ、所詮悪夢だろう!」
地面を砕く程踏み込み
[メイン3] マリア : 「獣と笑うのならば」
[メイン3] オビト : 先程降臨した花木に、クナイが
[メイン3] マリア : 「私は獣の力で捻じ伏せる!」
[メイン3] マリア : 悪夢がマリアに追従し
[メイン3] マリア : 落葉を、ドロリとした血が包む
[メイン3] オビト : 男もまた、真っ向から踏み込む
[メイン3] マリア : 狂気が、マリアの狂気が刃になり
[メイン3] オビト : 信念が、オビトの信念がそのまま黒棒をより強固にし
[メイン3] マリア : ほおずき、振りかざす
[メイン3] オビト : 一手、遅れ───
[メイン3] オビト : ポフン
[メイン3] : オビトの身体は、煙に消え
[メイン3] マリア : 「ちィ!」
[メイン3] マリア : 獣性は、目を眩ませるもの
[メイン3] オビト : コートを付けられていたクナイが
[メイン3] オビト : 代わりに男の姿になりて
[メイン3] マリア : 違和も薄らさせる、人間性故
[メイン3] オビト : マリアの背後から
[メイン3] マリア : 「ならば」
[メイン3] オビト : 全ての動きを縛り上げる外道の棒を───
[メイン3] マリア : 直立し
[メイン3] マリア : 刀を
[メイン3] マリア : 自身の腹を貫かせて、背後のオビトに突き立てようとする
[メイン3] マリア : 背後に、噴き上がるほどの血を撒き散らし
[メイン3] オビト : 視界を眩まされ───
[メイン3] オビト : だがオビトは歩みを止めず
[メイン3] オビト : その女の芯の臓を捉えんと黒棒を背中向けて突き刺さんとする
[メイン3] マリア : 「目眩しではないのは、さっき見ただろう」
[メイン3] マリア : その殺意に、回避する体力は無いが
[メイン3] マリア : その身に巡るのは、穢れた血
[メイン3] マリア : 故に、噴き上がる背後も
[メイン3] マリア : マリア自身も
[メイン3] マリア : 赫く、赫く焔を上げる
[メイン3] オビト : 右手は、黒棒を女の背中に
[メイン3] オビト : 残りの手、左手は
[メイン3] マリア : 「信念、か」
[メイン3] オビト : 指から4つの煌めきを灯して
[メイン3] マリア : クククと、笑いながら
[メイン3] マリア : 「ならばこそ、酔うなよ」
[メイン3] オビト : 己の体に押し付けて致命だけは避け───
[メイン3] マリア : 「一度血に染めたならば、誰もが」
[メイン3] マリア : 「血に酔っていくのだから…」
[メイン3] マリア : 瞳を閉じて
[メイン3] オビト : 「───言われなくとも」
[メイン3] オビト : 「血で舗装された道を、オレは歩むのだから」
[メイン3] オビト : 「酔わないさ───生憎とガキの頃と違って」
[メイン3] オビト : 「まっすぐに歩けるようになったつもりなんだからな」
[メイン3] マリア : 言葉を、返すことはない
[メイン3] マリア : だが、マリアは見据えないだろう
[メイン3] マリア : ただ、待つのだ
[メイン3] マリア : 愚かならば、しかして踏み違えるのならば
[メイン3] マリア : その時こそ、終わりなのだから
[メイン3] オビト : 「貴様の名前は」
[メイン3] オビト : 「オレ1人だけが…記憶してやろう」
[メイン3] オビト : そう言い、怪我だらけの身体を"柱間細胞"で再生させながら…女の方を向いて
[メイン3] マリア : 「そうすると佳い」
[メイン3] マリア : 「忘れても、最早」
[メイン3] マリア : 「悪夢の中に私は居る」
[メイン3] オビト : 「……オレもまた、地獄の中に居る」
[メイン3] オビト : 「さらばだ」
[メイン3] マリア : 「"また会おう"」
[メイン3] オビト : 「……」
[メイン3] オビト : 「ああ、"また"」
[メイン3] オビト : 男は再び、神域から消え出す
[メイン3] オビト : 後、一歩だ
[メイン3] オビト :
[メイン3] オビト :
[メイン3] オビト :
[メイン3] マリア :
[メイン3] マリア : 鐘の音が、止んだ
[メイン3] マリア :
[メイン3] オビト :
[メイン3] オビト :
[メイン3] オビト : 傷が、深い───
[メイン3] オビト : 夢…か
[メイン3] オビト :
[メイン3] オビト : そうして
[メイン3] オビト : 男は────
[メイン3] :
[メイン3] : 数多の悪夢を終わらせるために
[メイン3] : 復習の連鎖を断ち切るために
[メイン3] :
[メイン3] :
[メイン3] 六道オビト : ……
[メイン3] 六道オビト : さあ
[メイン3] 六道オビト : もうすぐだ────
[メイン3] 六道オビト :
[メイン3] 六道オビト :
[メイン3] 六道オビト :
[メイン3]
アスラン・ザラ :
[メイン3]
アスラン・ザラ :
[メイン3]
アスラン・ザラ :
[メイン3] アスラン・ザラ : アイツらのいない空間。
[メイン3] アスラン・ザラ : 見る限りは二人きりの空間で、俺は目の前の女に向き合う。
[メイン3] 両儀式 : 手元でチャチなステーキナイフを回して、そいつを見据える
[メイン3] 両儀式 : 隙だらけだが
[メイン3] 両儀式 : 隙がない
[メイン3] アスラン・ザラ : トン。地面を鳴らして地面に文様を描く
[メイン3] アスラン・ザラ : 「術式展開」
[メイン3]
アスラン・ザラ :
破
壊
殺
・
羅
針
[メイン3] 両儀式 : 咄嗟に後に跳び、その文様から離れる
[メイン3] アスラン・ザラ : そのままその場で構える
[メイン3] 両儀式 : さっきから感じていた隙のなさはこれか
[メイン3] 両儀式 : 相手の殺意 いや闘気か
[メイン3] 両儀式 : それを感じ取るような
[メイン3] 両儀式 : 「羅針盤」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「来ないなら」
[メイン3] アスラン・ザラ : 行くぞ、と言わんばかりに地面を蹴る
[メイン3] アスラン・ザラ : 破壊殺・砕式
[メイン3]
アスラン・ザラ :
まんようせんやなぎ
万 葉 閃 柳
[メイン3] アスラン・ザラ : 飛び上がって地面に向かい拳を叩きつける
[メイン3] 両儀式 : 来る
[メイン3]
両儀式 :
咄嗟に横に跳ぶ
直撃だけは避けるように
[メイン3]
アスラン・ザラ :
身体を捉えない
だが、崩れた地が飛び道具のように
式の身体を襲う
[メイン3] 両儀式 : 咄嗟、飛び散る破片を、害になるものだけ切り払い
[メイン3] 両儀式 : 「殺」す
[メイン3] アスラン・ザラ : 「切れ味がいいな」
[メイン3] アスラン・ザラ : 脚を踏み切って、式へと迫る
[メイン3] 両儀式 : 迎撃するようにナイフを順手に持ち替え
[メイン3]
アスラン・ザラ :
破壊殺・脚式
りゅうせんぐんこう
流 閃 群 光
[メイン3] アスラン・ザラ : 中段、上段。流れるように蹴りを繋ぐ。
[メイン3]
両儀式 :
小気味良いな
そして暴力的だ
[メイン3] 両儀式 : 余裕はない
[メイン3] 両儀式 : 必死 放たれる蹴りを なるべくダメージを受けないよう 受ける
[メイン3] アスラン・ザラ : 俺の蹴りを受けるのか
[メイン3]
アスラン・ザラ :
ステーキナイフだぞ
虚憶から再現したものといえ
俺の素流を
[メイン3] アスラン・ザラ : 「ッ!」
[メイン3] アスラン・ザラ : 身体を落とす
[メイン3] 両儀式 : 反応が遅れた
[メイン3]
両儀式 :
既に屈んでそこにはいない
空に向かって刃を振る
[メイン3] アスラン・ザラ : 「俺じゃ無理か」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「『狛治』」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「交代だ」
[メイン3] アスラン・ザラ : そう言うと腕で地面を抑え飛び上がる
[メイン3] 両儀式 : それを目で追う
[メイン3] 両儀式 : ……交代だと?
[メイン3]
アスラン・ザラ :
飛び上がったその肉体は
物理を無視して変形する
[メイン3] 両儀式 : 身体が 変わる?
[メイン3]
:
「素晴らしい提案……ではないが」
「形式取って聞いておこう」
[メイン3] : 「式」
[メイン3] 猗窩座 : 「お前も、鬼にならないか?」
[メイン3]
両儀式 :
さっきまでとは
それこそ別人
[メイン3] 両儀式 : 「鬼?」
[メイン3] 両儀式 : 「笑えない冗談だな」
[メイン3] 両儀式 : よりによって 私に鬼になれとは
[メイン3] 猗窩座 : 「そうか……そうだろうな」
[メイン3] 猗窩座 : 「今までこれを問いかけたもので鬼になると答えた者はいなかった」
[メイン3] 猗窩座 : 「立派なものだ。強さを求めた理由を見失わない」
[メイン3] 猗窩座 : 「……俺と違って」
[メイン3]
両儀式 :
さっきまでとは肉体の強度も桁違い
見た目もまるで
[メイン3] 両儀式 : 同じなのは声くらいか
[メイン3] 両儀式 : 「俺は力を求めた覚えなんてないが」
[メイン3] 猗窩座 : 「それは残念だ」
[メイン3] 猗窩座 : アスラン・ザラの物とはまるで練度の違う「素流」
[メイン3] 猗窩座 : 至高の領域に近いそれを全身で
[メイン3] 猗窩座 : 脚を踏み出して、放つ
[メイン3] 両儀式 : 速い。さっきよりも。
[メイン3] 両儀式 : 殺られる
[メイン3]
猗窩座 :
破壊殺・脚式
ひゅうせいせんりん
飛 遊 星 千 輪
[メイン3]
両儀式 :
また蹴りだ
今度は先より重い 速い
[メイン3] 両儀式 : 必死に反り返りそれを躱す
[メイン3]
猗窩座 :
蹴撃により生まれた衝撃波、風圧
躱しきった式に襲い掛かる
[メイン3]
両儀式 :
間一髪
その衝撃を刃で受ける
[メイン3] 両儀式 : 次の瞬間 身体を落として
[メイン3] 両儀式 : 頸を狙って 刃を滑らせる
[メイン3] 猗窩座 : 「!」
[メイン3]
猗窩座 :
その刃を腕で防ぎ
反撃の拳を放つ
[メイン3] 猗窩座 : 「面白い。短刀を使う剣士は柱にもいなかった」
[メイン3] 両儀式 : 皮膚でナイフを止めるか
[メイン3] 両儀式 : 拳を躱し その腕を斬り込む
[メイン3] 両儀式 : 今度は『殺す』
[メイン3] 猗窩座 : 継に放たれた斬撃
[メイン3] 猗窩座 : 強靭なはずの鬼の肉体を容易く切断する
[メイン3] 猗窩座 : いや
[メイン3] 猗窩座 : 『死』んだのか
[メイン3] 両儀式 : 「どうした 体術自慢さん」
[メイン3] 両儀式 : そのまま脚を回して腹に蹴り込む
[メイン3] 猗窩座 : 蹴りをそのまま受け
[メイン3] 猗窩座 : それを利用し距離を取る
[メイン3] 猗窩座 : 「そんな人を斬る様にも出来ていない短刀で鬼の腕を真っ二つにするか!」
[メイン3] 猗窩座 : 「君は強い女性のようだな」
[メイン3] 両儀式 : 「……生憎」
[メイン3] 両儀式 : 「『鬼』みたいなのを殺す家系らしくてな」
[メイン3] 猗窩座 : 「成程な」
[メイン3] 猗窩座 : 鬼殺の隊士のような、闇に飛び込み、光の世を守る人種か。
[メイン3] 猗窩座 : 俺には眩しすぎる。
[メイン3] 猗窩座 : 『家族』すら守れなかった俺には。
[メイン3] 猗窩座 : 「……素晴らしい」
[メイン3] 両儀式 : 「……別に。そうでもない」
[メイン3] 猗窩座 : 「そうかもしれんな」
[メイン3]
猗窩座 :
杏寿郎。
お前のような人が今俺の前に立っている。
[メイン3] 猗窩座 : 俺には過ぎた幸福だとは思わないか?
[メイン3] 猗窩座 : 踏み出す。再び距離を詰める。
[メイン3] 両儀式 : 同じく構えて走り出す
[メイン3] 猗窩座 : 狙うのはこの娘の気絶
[メイン3] 猗窩座 : 殺しちゃあの時と同じだろ
[メイン3]
猗窩座 :
恋雪さん
今度は誰も殺さない
[メイン3] 猗窩座 : そしてこの娘にも殺させない
[メイン3]
猗窩座 :
大きく上げた脚
蹴りを首元に
[メイン3] 両儀式 : スライディング
[メイン3] 両儀式 : その股下を潜り抜ける
[メイン3] 猗窩座 : 抜けられた
[メイン3] 猗窩座 : 背後か
[メイン3] 両儀式 : 逆手 持ち替えた刃が狙うのは首
[メイン3]
猗窩座 :
破壊殺・脚式
かむろさきわり
冠 先 割
[メイン3]
猗窩座 :
背後を蹴り上げる
狙えるのは顎か
[メイン3] 両儀式 : 蹴りに捉えられるより先
[メイン3] 両儀式 : また地面を滑り
[メイン3] 両儀式 : 通り抜けざまに足首を『殺』す
[メイン3] 猗窩座 : ガクン。視界が落ちる。
[メイン3] 猗窩座 : 速い……!?
[メイン3] 両儀式 : そのまま逆さに飛び上がり
[メイン3] 両儀式 : 「頸だ」
[メイン3] 両儀式 : 今度こそ貰った
[メイン3] 猗窩座 : 日輪刀でもない刃物で鬼を殺せるわけがない
[メイン3] 猗窩座 : しかし先からの感覚
[メイン3] 猗窩座 : ただ切れ味が良いわけではない
[メイン3] 猗窩座 : これは
[メイン3] 猗窩座 : 『直死』?
[メイン3] 両儀式 : 頸、刃が迫り
[メイン3] 猗窩座 : その頸を あっさりと斬り落とす
[メイン3] 猗窩座 : 視界が回る
[メイン3] 猗窩座 : 斬られた
[メイン3] 両儀式 : ……殺し……
[メイン3]
猗窩座 :
身体が再生できない
読み通り
[メイン3]
猗窩座 :
『死』んだ
直接的に、死を与えられた
[メイン3] 猗窩座 : いつか来る終わりを
[メイン3]
両儀式 :
頸を斬った
殺したのか 私は此奴を
[メイン3] 両儀式 : 殺した
[メイン3] 両儀式 : もう後戻りは 出来ない
[メイン3] 猗窩座 : ……何が死だ
[メイン3]
猗窩座 :
『死』ならばもう
とっくの昔に 経験した
[メイン3] 猗窩座 : 身体から離れたその首が胎動する
[メイン3] 猗窩座 : 一度鬼さえ越えた感覚
[メイン3] 猗窩座 : 思い出せ
[メイン3] 猗窩座 : 今回は 『恥に思うこと』は一つもない
[メイン3] 両儀式 : 「早く」
[メイン3]
両儀式 :
一人殺した
後戻りはできない
すぐに此処から出て
殺さなければ
[メイン3] 両儀式 : 全員
[メイン3] 猗窩座 : 証明しろ
[メイン3] 猗窩座 : 人を守るための拳
[メイン3] 猗窩座 : その本当の力を
[メイン3] 猗窩座 : 零れ落ちた首から瞬時に全身が生える
[メイン3] 両儀式 : 「……!?」
[メイン3] 猗窩座 : ぎゅるりと廻って、立つ
[メイン3] 猗窩座 : 「……殺させない。君には人を」
[メイン3] 両儀式 : 「……殺させない、か」
[メイン3] 両儀式 : 「とんだ甘ちゃんのようだな」
[メイン3] 猗窩座 : 「甘ちゃんか」
[メイン3] 猗窩座 : 「そうであれたら、良かったな」
[メイン3] 猗窩座 : と、言い捨てて
[メイン3] 猗窩座 : 再び、目の前の相手に走り出す
[メイン3] 猗窩座 : 「さあ式。ここからが喧嘩だぞ」
[メイン3] 猗窩座 : 拳を、振りかぶる
[メイン3] 両儀式 : 目を凝らして目の前の相手を見る
[メイン3] 両儀式 : 見る
[メイン3] 両儀式 : 見る
[メイン3] 両儀式 : 見る
[メイン3] 両儀式 : 視えない
[メイン3] 両儀式 : 視えない……
[メイン3] 両儀式 : 視えない……!?
[メイン3] 猗窩座 : 振りかぶった拳
[メイン3] 両儀式 : 線も 点も見えない
[メイン3] 両儀式 : 今さっき無くなったのか
[メイン3] 両儀式 : 『死』が
[メイン3] 両儀式 : こいつから
[メイン3] 猗窩座 : 顔面
[メイン3] 猗窩座 : は
[メイン3] 猗窩座 : 可哀相、か
[メイン3] 猗窩座 : こんなに……美しい顔だ
[メイン3] 猗窩座 : まるで……
[メイン3] 両儀式 : 苦し紛れにナイフを振るう
[メイン3] 猗窩座 : 腹に一撃
[メイン3] 猗窩座 : ……貴方みたいだ。恋雪さん
[メイン3] 両儀式 : 顔面を外された
[メイン3] 両儀式 : 腹、重い
[メイン3]
両儀式 :
大きく吹き飛ばされ
得物も手放す
[メイン3] 両儀式 : そのまま転がって
[メイン3] 両儀式 : 激しく煙を立てて、倒れ込む
[メイン3] 猗窩座 : ……やりすぎたか
[メイン3] 猗窩座 : すぐにあちらに行って、手当てを……
[メイン3] 両儀式 : ……転がった先
[メイン3] 両儀式 : 何かが落ちている
[メイン3] 両儀式 : ちょうど私が握れる位置に
[メイン3] : それは、見れば奇怪なものだろう
[メイン3] : 混ざり合う刃、異端の一刀
[メイン3] : 貴なる紋様を鞘に、赫く染まった刃紋を伸ばす
[メイン3] : 嘗て、女王を守る為にあった刃がまるで逆転したかのように
[メイン3] 両儀式 : 刀?
[メイン3] : 知りもせぬ東洋の者に渡るというのは、また奇怪な運命であった
[メイン3] : 銘を『千景』
[メイン3] : 穢れた血を護る、異邦の刀である
[メイン3] 両儀式 : これは運命だ
[メイン3] 両儀式 : 私はまだ
[メイン3] 両儀式 : 戦える
[メイン3] 猗窩座 : ……妙だ。
[メイン3] 猗窩座 : 駆け寄っていたそいつに、何か妙な……
[メイン3] 猗窩座 : 闘気が
[メイン3] 両儀式 : ……その刀を持って、ゆらりと立ち上がり
[メイン3] 猗窩座 : ……殺気。
[メイン3] 猗窩座 : それにこの感覚。
[メイン3] 猗窩座 : 脆弱な人の身体を
[メイン3] 猗窩座 : 戦うために作り替える
[メイン3] 猗窩座 : まるで……
[メイン3] 猗窩座 : 『全集中の呼吸』……?
[メイン3]
両儀式 :
刃を構える
『両儀式』の本領発揮だ
[メイン3] 両儀式 : 第二ラウンド
[メイン3] 猗窩座 : 第二幕
[メイン3] 猗窩座 : お互い『本領』か
[メイン3] 両儀式 : 目の前の男はこのような剣士を何人も屠ったのだろう
[メイン3] 両儀式 : だが
[メイン3]
両儀式 :
今持つ刀は
日輪などという眩いものを冠してはいない
[メイン3] 両儀式 : 身体は動く
[メイン3] 両儀式 : 脚を動かして、踏み出す
[メイン3]
猗窩座 :
咄嗟、脚を踏み込んで
再び羅針を映し出す
[メイン3]
両儀式 :
脚を滑らせて肉薄
血色に滲んだそれを
狙うは首のみ
[メイン3] 両儀式 : 横に振る
[メイン3]
猗窩座 :
殺気
腕を添えて弾く
[メイン3] 両儀式 : 弾かれた その勢いを利用して左に回る
[メイン3] 猗窩座 : 左、太刀筋は
[メイン3]
両儀式 :
腕を狙う
斬撃を 今度は死が見えないならば
[メイン3] 両儀式 : 『力づく』だ
[メイン3] 猗窩座 : 片腕、左腕が抉り斬られる
[メイン3] 猗窩座 : 人間の膂力か?これが
[メイン3] 猗窩座 : いいや、柱ならば……この程度は
[メイン3]
両儀式 :
刃は血に染まる
目の前の男の血と
[メイン3] 両儀式 : 握る私そのもののそれで
[メイン3] 両儀式 : 侍が使った技術
[メイン3] 両儀式 : 或いは、かの日輪の痣を生まれつき持った男が編み出した呼吸
[メイン3]
両儀式 :
造り替えられた身体は、目の前の鬼と
互角に
[メイン3] 猗窩座 : 破壊殺・乱式
[メイン3]
猗窩座 :
拳と刃が打ち合う
あの時のように
横転した列車の近くで戦ったあの男と同じように
[メイン3] 両儀式 : 刀が拳を弾き
[メイン3] 両儀式 : こいつを殺す方法
[メイン3]
両儀式 :
死が視えない
頸を斬ろうと死なない
[メイン3] 両儀式 : なら
[メイン3] 両儀式 : 全身を 一撃で纏めて抉り斬る
[メイン3] 猗窩座 : 咄嗟 相手の闘気を感じて
[メイン3] 猗窩座 : 自らも 絶技を
[メイン3] 猗窩座 : 破壊殺・滅式
[メイン3] 両儀式 : 血に濡れた刀と、かつて血に濡れた拳が交差する
[メイン3] 猗窩座 : 突き刺さった刀
[メイン3]
猗窩座 :
それは狙い通り
鬼の身体を抉り斬り
[メイン3] 両儀式 : 更に、朱く染まる
[メイン3]
猗窩座 :
ダメだ。
俺ではこの子を止められない
[メイン3] 猗窩座 : 宙を舞う身体が、そう思案して
[メイン3] 猗窩座 : 「交代だ」
[メイン3] 猗窩座 : 「『キャベンディッシュ』」
[メイン3] 猗窩座 : お前の方が向いている
[メイン3] 両儀式 : 交代
[メイン3] 両儀式 : 先、あの男がこの男に変わったときに発したのと同じ
[メイン3] : 「全く、人使いが荒いぞ」
[メイン3]
キャベンディッシュ :
「……だが、このお嬢さんの相手」
「任されてやらないわけじゃない!」
[メイン3] 両儀式 : また変わった
[メイン3] 両儀式 : その手に握られているのは
[メイン3] 両儀式 : 剣
[メイン3] キャベンディッシュ : 「踊ろうじゃないか、サムライガール!」
[メイン3]
キャベンディッシュ :
ブルーバード
「美剣 青い鳥!!」
[メイン3] 両儀式 : 「侍じゃ、ないがな」
[メイン3]
両儀式 :
放たれた剣を受ける
素早い だが 同じ土俵
[メイン3] キャベンディッシュ : そう 同じ土俵
[メイン3] キャベンディッシュ : 猗窩座と違って、純粋な剣技のぶつけ合い
[メイン3] 両儀式 : だが
[メイン3] 両儀式 : あの男でないのなら
[メイン3] 両儀式 : 視える 『死』が
[メイン3] 両儀式 : 視えた線に沿って 太刀を
[メイン3] 両儀式 : 狙うはその剣
[メイン3]
キャベンディッシュ :
剣を逸らしてその線から外し
受ける
[メイン3] 両儀式 : 「……」
[メイン3] キャベンディッシュ : 「猗窩座っ!!君の伝えたことは無駄にしない」
[メイン3] キャベンディッシュ : 「この子は僕が眠らせる……」
[メイン3] 両儀式 : が
[メイン3]
両儀式 :
それを斬り返すように
下から一撃
[メイン3] 両儀式 : 今度は『捉える』
[メイン3] キャベンディッシュ : 「……!!」
[メイン3] キャベンディッシュ : 腕を 剣士の命たる剣を
[メイン3] キャベンディッシュ : 『殺』され
[メイン3] キャベンディッシュ : そのまま、ローリング
[メイン3] キャベンディッシュ : 「『アスラン』!!」
[メイン3] アスラン・ザラ : 瞬間、姿は戻って
[メイン3] 両儀式 : 背後に回ったそれに刃を
[メイン3] 両儀式 : 今度は『殺』す
[メイン3]
アスラン・ザラ :
その刃が届く前に、腹に蹴りを入れ
そのまま距離を取る
[メイン3] 両儀式 : 「・・・!」
[メイン3]
両儀式 :
転がって
受け身を取り起き上がる
[メイン3]
アスラン・ザラ :
しかし、受けた傷は深く
そのまま、膝をついて
[メイン3] 両儀式 : 「どうした」
[メイン3] 両儀式 : 「もう、終わりか?」
[メイン3] アスラン・ザラ : ゆっくり、起き上がって
[メイン3] アスラン・ザラ : 「……ああ」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「終わらせる……!」
[メイン3] 両儀式 : 「……受けてたとう」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「もしこれで、お前が立ってたら……」
[メイン3] 両儀式 : 「ああ」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「最後だ」
[メイン3] アスラン・ザラ : ……全身から装甲が盛り上がる
[メイン3] アスラン・ザラ : 正義の為の盾となる、救世主を形作って
[メイン3]
アスラン・ザラ :
インフィニットジャスティス
「『無限の正義』」
[メイン3] アスラン・ザラ : 彼女の持つ刃と同じ
[メイン3] アスラン・ザラ : 紅い正義が、そこに立つ
[メイン3] 両儀式 : 「さっきまでとはずいぶん違うな」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「ああ。さっきより……強い」
[メイン3] アスラン・ザラ : 瞬間、急加速して
[メイン3] アスラン・ザラ : 蹴りを
[メイン3] 両儀式 : それを横に跳んで
[メイン3] 両儀式 : 躱す
[メイン3]
アスラン・ザラ :
躱されて地を蹴る
瞬間再び加速して
[メイン3]
アスラン・ザラ :
光の剣を二つ繋げたものを
振るう
[メイン3]
アスラン・ザラ :
プレシャスメタルアックス
金の斧 銀の斧
[メイン3]
両儀式 :
受けられない
また躱さなければ
[メイン3] 両儀式 : 攻撃に合わせ 屈む
[メイン3] 両儀式 : そのまま、その脚を『殺』そうと
[メイン3] アスラン・ザラ : 無限の正義を掲げた今の彼は
[メイン3]
アスラン・ザラ :
『素流』
『美剣』
『心壁』
[メイン3] アスラン・ザラ : 全てが 完璧
[メイン3] アスラン・ザラ : 脚を殺そうとしたその剣を
[メイン3] アスラン・ザラ : 一撃、叩き折る
[メイン3] 両儀式 : 「……!?」
[メイン3] アスラン・ザラ : 鈴割り
[メイン3] アスラン・ザラ : 素流を学んだ一人の男
[メイン3] アスラン・ザラ : 『狛治』が得意とした技
[メイン3] 両儀式 : 折られた刀
[メイン3] 両儀式 : ……これだけ刃が残っていれば充分だ
[メイン3]
両儀式 :
斬り返す
狙いは片腕
[メイン3] 両儀式 : 『殺』す
[メイン3]
アスラン・ザラ :
左腕
装甲に包まれたそれは容易く斬り飛ばされる
[メイン3]
両儀式 :
「楽にしてやる」
「……楽に『殺して』やるから」
[メイン3] 両儀式 : 助走をつけ、再びその『正義』へと
[メイン3] アスラン・ザラ : 「いらないさ」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「お前に誰一人として殺させるものか!」
[メイン3]
両儀式 :
血に染まった刀が
無限の正義へと振るわれて
[メイン3] アスラン・ザラ : 交差するように
[メイン3]
アスラン・ザラ :
終式
青
銀
乱
残
光
[メイン3] アスラン・ザラ : 無数の拳が
[メイン3]
アスラン・ザラ :
美剣
ザン・テグジュベリ
斬・星屑王子
[メイン3] アスラン・ザラ : 斬撃が
[メイン3] アスラン・ザラ : 「この馬鹿野郎ッ!!」
[メイン3] アスラン・ザラ : 正義が
[メイン3] 両儀式 : 交わって
[メイン3]
両儀式 :
交差した後に
私の握っていた刀はなかった
[メイン3] アスラン・ザラ : ……
[メイン3] アスラン・ザラ : 「……式」
[メイン3] 両儀式 : とうとう力尽きて、倒れ込み
[メイン3] アスラン・ザラ : それに近づく
[メイン3]
両儀式 :
「……殺せよ」
「早く」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「……何故、その必要がある?」
[メイン3] 両儀式 : 「……俺はお前らを殺そうとして負けた」
[メイン3] 両儀式 : 「理由はそれで充分だ」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「……本当か?」
[メイン3]
アスラン・ザラ :
「俺はそうは思わん」
「せっかく生きているんだぞ。生きるべきだ」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「少なくとも、俺はお前を生かしたい」
[メイン3]
両儀式 :
「……ふざけるなよ」
「俺はお前を殺そうとしたんだぞ」
[メイン3]
両儀式 :
……あいつにあんなこと言った手前
私はきっと、死ななければならない
[メイン3]
両儀式 :
「そうじゃないと俺の気が済まない」
「……そうじゃないと釣り合いが合わない」
[メイン3] アスラン・ザラ : ……変身を解いて
[メイン3] アスラン・ザラ : 「この馬鹿野郎!!!」
[メイン3] アスラン・ザラ : その頬を思いっきり殴る
[メイン3] 両儀式 : 「……は?」
[メイン3]
両儀式 :
殺すでもなく
ただ 殴るだけ
[メイン3] アスラン・ザラ : 「……逃げるな」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「生きる方が、戦いだ!!」
[メイン3]
アスラン・ザラ :
かつて、ある女性に言われた言葉。
それを目の前の彼女に投げかける
[メイン3] 両儀式 : 「……逃げる?」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「そうだ。本当に釣り合いを取りたいなら」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「死んで楽になろうとするな」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「生きろ!!……生きて苦しめ!!そして戦え!!」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「お前にだって、帰りたい場所があるんだろう」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「だからこんなくだらない殺し合いに乗ったんだろう!!」
[メイン3] 両儀式 : その話を聞いて、目を逸らす
[メイン3] アスラン・ザラ : 「だったら帰れ!!後ろめたいというのなら、それがお前に課せられた罰だ!!」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「逃げるな!!」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「生きる方が戦いだ!!」
[メイン3] 両儀式 : 「……ぷっ」
[メイン3] 両儀式 : 「ははは……莫迦か、お前」
[メイン3] アスラン・ザラ : ……素手で空間を捻じ曲げて出口を作る。
[メイン3] アスラン・ザラ : 「……莫迦で結構。さ、帰るぞ」
[メイン3] 両儀式 : 「待って今すごいことしなかった」
[メイン3] アスラン・ザラ : 「力んだら出来た すごいね人体」
[メイン3] 両儀式 : 「そ、そうか……」
[メイン3]
アスラン・ザラ :
「そんなことはどうでもいい。……帰ろう」
「君の帰るべき場所。俺の帰るべき場所へ」
[メイン3] 両儀式 : 「……仕方ない。連れていかれてやるよ」
[メイン3] アスラン・ザラ : 手を引いて、光の方へ歩いていく
[メイン3] アスラン・ザラ : 光の方向、いや
[メイン3] アスラン・ザラ : 『終わらない明日へ』……
[メイン3]
アスラン・ザラ :
[メイン3]
アスラン・ザラ :
[メイン3]
アスラン・ザラ :